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フィルムカメラ


「フィルムカメラじゃないと撮れないなと、、」とよく思うことがある。
デジタルカメラがあたり前の時代に古いことを言っているようだけど、
古い新しいではなくて、そこには確かな違いがある。

デジタルで撮った写真は、鮮やかで、シャープで、めりはり良く写る。
日々に目にする写真や映像は、ほとんどデジタルカメラで撮られている今、
デジタルの画像に目が慣れて、それを綺麗と思う感覚になっているかもしれない。
それに対してフィルムカメラの写真は、めりはりはあまりなく曖昧な写りだけれど、
より自然な立体感のある描写で、味わいとか、雰囲気の良さとかいった、
言葉では言えない空気感のような何かがある。

デジタルは世界の出来事を情報に変換し、瞬時に時間と空間を越えてしまう。
出来ることの可能性能力がアナログよりも断然に高い。
けれども、デジタルカメラの映像はデジタル信号に置き換えられた間接的な
情報のコピーでしかない。デジタル写真では写せない何かがあるように思う。
目の前に起こっていることは単なる情報ではなくて生の出来事。
生と死の命が鼓動する世界には、温もりや匂いがあって、生々しい実感が伴う。

良い写真とは情報を撮ることではなくて、世界の何か感じる取ることであるはず。
目に映るものと、目に見えないもの(視覚以外に感じるもの)も含めてこの世界は存在する。
利便さを追求する時代に馴れた私たちは、目に見えるものだけに頼り過ぎ、
逆に見えなくなっているように思う。
この実在する世界からの光を直接的に写し取るのがフィルム写真。

そんな生臭さは要らないのかもしれない。
欲しがらない脳になってしまっているのかもしれない。
だからガツンと目を覚ましてくれる何かがフィルム写真には残っている。

簡単に見ようとしたら簡単に見える。
深く見ようとすれば、この世界はどこまでも深くなる。
数字の計算や、外からの情報による答え合わせではなくて、
自分自身の内から滲み出す何かこそ、写すに値するものだろう。



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makina67, KODAK PORTRA NC

KiKusa

堀之内信哉
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by KiKusa-photo-note | 2010-07-30 00:45 | KiKusa